小さな命を守るNICUとは

「NICU」という用語を聞いたことがありますか?NICUとは“Neonatal Intensive Care Unit”の略称で、新生児集中治療室を意味します。NICUには、早産などで通常の赤ちゃんよりもとても小さく生まれた低出生体重児、さまざまな理由から自力で呼吸がスムーズにできない呼吸不全や、先天性の心臓病など何らかの問題を抱えた赤ちゃんなどが入院しています。

そして、小児科や産婦人科をはじめとする各科の専門医と看護師が、24時間体制で状態の観察、治療、看護を行っています。NICUに入院している赤ちゃんは、保育器内で過ごすことが多くあります。しかし保育器内では、泣いてもすぐに抱き上げてあげることができません。

そのため、看護師は保育器内の温度設定はもちろんのこと、赤ちゃんの手足をおなかのほうへ軽く屈曲させた状態でうつぶせに寝かせ、その体位が安定するように赤ちゃんのまわりをクルクルと丸めたバスタオルなどで囲んでいます。つまり、胎内にいるときの環境に近づけてあげることで、赤ちゃんは安心して眠ることができるのです。

とはいえ、赤ちゃんがゆっくり眠れるように見守るのは、とても大変なことです。授乳後にきちんとゲップしたにもかかわらず、睡眠中にミルクを吐いたために、その吐物が誤って気管に入ってしまい窒息や肺炎の原因になることもあるので、看護師は一時たりとも目が離せません。NICUの看護師は、新しい世界に一人でも多くの健康な赤ちゃんを送り出すことを目指して、日々の業務にあたっています。